<クラリーノ>の歴史

靴、手袋、ボール、ジャケット、ソファー、ランドセル等々…。身近なところでご愛用いただいている<クラリーノ>ですが、誕生から皆様に愛される素材になるまでには、数え切れないほどの苦難がありました。
今回はそんな人工皮革<クラリーノ>の歴史を、当時のエピソードを交えつつご紹介させていただきます。

<クラリーノ>の誕生

人工皮革の耐屈曲性試験

<クラリーノ>の誕生。それは新しい繊維の研究からスタートしました。遡って1961年頃から、繊維に新しい機能を持たせる研究に取り掛かっていました。研究を進める中、断面がレンコンのように孔のあいた、従来のものよりしなやかで柔らかい繊維が生まれたのです。

そのころ合成皮革の前身となるものが世の中に登場しました。これをヒントにレンコン状の繊維を使い、皮革を人工的につくることに成功します。しかし出来上がったものは、強度も弱く天然の革とはほど遠いものでした。

試行錯誤の時代徹底的な強度の追求

<クラリーノ>ブーツの広告

当社は強度の追求に徹底的に取り組んでいきました。当時試作品の用途として、「靴」に狙いを定めていたため、それに見合うだけの強さが必要だったのです。

強度を求め、繊維が立体的に絡み合う三次元不織布構造を作るため、試験生産を繰り返しましたがすぐにひび割れてしまいました。原因は、特殊繊維と、三次元不織布構造にするためのスポンジ状バインダーの耐屈曲性の悪さにありました。このため、バインダーにポリウレタンを使うことになります。まだ希少な素材であり、高額な輸入品に頼らざるを得ませんでしたが、不織布にポリウレタンを含ませ水中で凝固し、スポンジ化する方法を開発しました。ここに、<クラリーノ>の製造原理が生まれました。

ランドセルへの採用
軽さや手入れの容易さ、6年間耐える強さ

<クラリーノ>製品

事業がテストプラント建設に向けて進み始めた1963年、新商品に名前がつきました。クラシック音楽を愛した大原社長の「勇壮な前進を夢みるためのファンファーレのように鳴り響いてほしい」という思いから古い形のトランペットの名を由来とする<クラリーノ>と名づけられました。

紳士靴の販売に始まった<クラリーノ>ですが、「天然の革が使われているものはすべて<クラリーノ>で」という思想のもと、さまざまな用途に挑戦してきました。
今やランドセルの同義語のようになった<クラリーノ>ですが、最初は「ランドセルに“まがい物”はいらない」とまで言われたそうです。その後、大手通販業者が<クラリーノ>製ランドセルを採用したのをきっかけに、軽さや手入れの容易さ、6年間耐える強さなどが評価され、急速に普及していったのです。